諭旨解雇の内容と対象となるケース

最終更新日 2024年11月22日 by einvestig

企業に勤めている人の中には、諭旨解雇という言葉を聞いたことがあるという人も多いはずです。
これは解雇方法の1種だと言うことができますが、具体的な内容まで知らない人は少なくありません。
詳細を知らなければ、いつの間にかこの処分に当てはまるような問題を引き起こしてしまう可能性もあります。
また、この処分が言い渡されたときに妥当なものであるかどうか判断することができません。
知らず知らずのうちに問題を引き起こしてしまったり、不当な処分を受けたりしないためにも、これの特徴や対象となり得るケースについて理解を深めておくことが大切だと言えます。

解雇の種類

解雇にはいくつかの種類がありますが、大きく分けると普通解雇・整理解雇・懲戒解雇に分けることが可能です。

普通解雇

普通解雇は企業の就業規則で定められている規定に従って実施されるものだと言えます。
労働者の傷病によって労務不能になってしまった場合、勤務実績や勤務態度が著しく悪い場合などが該当するでしょう。
労働契約を履行できないと認められた場合には、会社の解雇に関する規定と照らし合わせた結果、この処分が行われることがあります。

整理解雇

整理解雇は業績不振の企業が行うものです。
倒産しそうになった企業がこれを避けるために社員を解雇するというものであり、企業の経営状態を理由に人員削減目的で行われることを知っておきましょう。

懲戒解雇

懲戒解雇は労働者が重大な問題を引き起こすなど、労働者本人の違反行為などによって実施されるものです。
解雇処分の中では最も厳しい処分だと言えます。

諭旨解雇とは

それでは諭旨解雇はどういったものなのだろうかと思うかもしれませんが、これは懲戒解雇を少しだけ軽くしたものだと考えることが可能です。
懲戒解雇を行うべき内容であったとしても、雇い主の温情によって処分が軽減されることがありますが、これが諭旨解雇に該当します。
諭旨という言葉には趣旨や理由を諭して告げるという意味があることから考えると、より具体的な意味が分かってくるはずです。
労働者が起こした問題による業務上の支障や損害を雇い主が説明し、強制的に処分を行うのではなく、双方の話し合いを経て結論を出すという内容になっています。
つまり、これが実施された場合は、あくまでも双方が納得した上で処分を行ったということになることを覚えておくと良いです。

退職金や失業保険を受け取る権利がある

懲戒解雇よりは処分が軽いので、退職金や失業保険を受け取る権利があります。
退職金や失業保険を受け取ることができなければ、解雇された従業員の再就職への道が閉ざされてしまったり、生活が苦しくなったりする恐れがあるでしょう。
退職後のこうした問題を避けるために、雇用主からの温情がある処分を諭旨解雇と言えます。
ただし、キャリアに傷が入ってしまうことは変わりがないので要注意です。
別の会社を志望する際などに退職理由まで記す必要はありませんが、離職票や退職証明書の提出を求められるとどういった理由で退職したのか明らかになります。
全ての企業がこれらの提出を求めるわけではありませんが、提出が求められるケースは少なくないです。
隠しておいて内定が出たとしても、解雇理由が明らかになって内定が取り消しになってしまう可能性もあります。

諭旨解雇の対象となるケース

諭旨解雇の対象となるケースには色々なものがあることを知っておくべきです。
多種多様な理由がこれに該当しますが、代表的なものとして5つあげることができます。
まずは最終学歴や職歴、犯罪歴などの詐称であり、経歴を偽ると問題視されることになるので要注意です。
業務上横領や金銭的な不正、転勤や出向の拒否なども該当します。
無断欠勤が続いた場合も、対象となりかねないので気をつけておく必要があるでしょう。
セクハラやパワハラが問題になることは理解している人が多いですが、これを行うことによってこの処分が適用される可能性があります。
あくまでも代表的なものであり、労働契約の基本的な趣旨に反しなければ、こうした内容以外の理由から懲戒解雇またはそれを軽減した処分を下すことが可能です。
少しの詐称や無断欠勤、他の社員への横柄な態度など自分では問題ないと思っていた行為でも該当してしまう可能性があるので、詳しい内容を理解しておくことが大切だと言えます。

まとめ

企業に勤める人であれば、諭旨解雇の内容や対象となる場合についてきちんと理解しておくべきです。
自分とは無縁なものだと思っている人は多いですが、思いもよらぬ内容がこの処分に繋がる可能性があります。
もちろん、不当な理由でこの処分が実施されることはありませんし、雇用主の下した処分が不当である場合は裁判所に訴えることが可能です。
解雇にはいくつかの種類があり、最も重い内容ではありませんが、経歴に傷がつく点などでは懲戒解雇と同じだと言えます。
詳細や対象ケースを理解できていない社会人はとても多いので、他人ごとだとは考えずに、内容について学んでおくことが大切であると知っておきましょう。